リハビリ職を目指す前に知っておくべきこと5選

検索サイトに理学療法士と入力すると、

「理学療法士 生活できない」「理学療法士 やめとけ」などネガティブな検索結果が出てきます。

これらか理学療法士などのリハビリ職を目指す人にとってはネガティブなワードですが、実態は十分に普通の生活を送ることが出来ます。

ネットの記事を見ていると誤情報が多く紛れていたため、惑わされないようにしましょう。

本記事では、そもそもリハビリって何をするの?やりがいはあるの?など、リハビリ職を目指す前に知っておくべきこと5選を紹介します。

本記事のまとめ
・リハビリは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3つに分かれる
・人を幸せに出来る職業
・年収は平均値で426万・中央値で351万円あり、普通の生活をすることは可能
・リハ職種の供給が現時点で需要を上回っており、2040年には供給数が需要数の1.5倍になると想定
・自分だけの武器を持たないと生き残れない時代に

これからリハビリ職を目指している人、迷っている人は必ず最後まで読んでください。

目次

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士って何が違うの?

そもそもリハビリテーション(Rehabilitation)とは、

Re:再び・戻す、habilis:適した・ふさわしい、から成り立っています。

つまり怪我をしたある一部分を回復させるのではなく、「その人らしい生活」「人間らしい生き方」といった対象者の人生全てに介入する仕事になります。

理学療法士とは?

理学療法士はPhysical Therapist(PT)とも呼ばれます。

ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。 

参考:日本理学療法士協会

作業療法士とは?

作業療法士はOccupational Therapist(OT)とも呼ばれます。

人は生活の中で誰もが食事をし、入浴をし、トイレに行きます。

これらに限らず日常生活に関わる行為全てを「作業」と呼びます。

作業療法とは、基本的な動作能力から、社会の中で適応する能力まで3つの能力を維持・改善し、「その人らしい」生活の獲得を目標としています。

3つの能力とは、基礎的操作能力・応用的動作能力・社会的適応能力の3つに分かれます。

対象者の体と心から社会生活まで、つまり人生そのものにリハビリを行うということです。

参考:日本作業療法士協会

言語聴覚士とは?

言語聴覚士はST(Speech-Language-Hearing Therapist)とも呼ばれます。

言語聴覚士は、話す、聞く、食べる、のスペシャリストになります。

私たちはことばによってお互いの気持ちや考えを伝え合い、経験や知識を共有して生活をしています。

ことばによるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。

言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。

また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。

参考:日本言語聴覚士協会

リハビリ職のやりがい

リハビリの中に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3つがあることはお分かりいただけたと思います。

もう少し話を掘り下げ、「やりがい」に注目していきます。

二人三脚で課題に取り組むことで、喜びを分かち合える

リハビリ職にとって一番のやりがいは喜びを分かち合えることでしょう。

患者様と一緒に目標を立て、それに向かって必要なリハビリを二人三脚で取り組んでいきます。

当然楽しいことばかりではないですが、患者様の目標を達成出来た時ほどの感動はないと思います。

患者様の生活に介入するということは、患者様の人生に介入するのと同義と捉えられます。

それだけ責任重大な仕事になりますが、その分喜びも大きいでしょう。

患者様・家族を笑顔に

喜びを分かち合えることと少し似ていますが、リハビリを通じて患者様やその家族を笑顔にすることが出来ます。

「今まで出来なかったことが出来た」

「やりたかったことが出来た」など、

諦めていたことが再び出来るようになると、多くの人は笑顔になります。

誰かを笑顔にすることはリハビリ職にとってやりがいの1つでしょう。

リハビリの給料と昇給率は?

リハビリ職に就きたい人にとって、給料がいくら貰えるのかは非常に重要だと思います。

給料を見るときは平均値ではなく中央値を見るとより現実的な数値になります。

給料は平均値ではなく中央値で見る理由

例えば5人職場で4人は300万円、1人は2,000万円貰っているとします。

5人の給料の合計は3,200万円になり、平均値は5で割った640万円になります。

中央値で見れば、低い順に並べた時の真ん中である300万円になります。

平均値と中央値では340万円も差があるため、現実的な数値を知りたいときは中央値を見るようにしましょう。

リハビリ給料の平均値と中央値

令和3年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によると、

理学療法士・作業療法士の平均年収は426.5万円平均月収は29.6万円となっています。

一方の中央値は「平均年収.jp」によると351万円とされています。

なぜ平均値と中央値にここまで差があるのか?

それは診療報酬の減少とリハビリ職員の人数が増えすぎて飽和しているからです。

診療報酬とは、保険医療機関等が行う診療行為やサービスに対する評価として公的医療保険から支払われる報酬

リハビリを行うと国からお金をいただいており、それを診療報酬といいます。

その診療報酬が年々低下しているため、病院の利益が下がり、当然リハビリ職の給料も増えません。

昇給はどれくらい見込めるの?

PT・OT人材バンクによると、年間昇級は3,000円〜10,000円とされています。

1年間で年収が36,000円〜120,000円増える計算です。

これは働いている地域や病院によって大きく差が出てくるものです。

また経験年数で徐々に昇級も増えていくとことが多いですが、中には勤め先の勤続年数によって昇給が増えることもあるでしょう。

その給料で生活出来るの?

結論から言いますと、「贅沢は出来ないけど、生活に困ることはない」です。

月20万円前後あれば一般的な生活に困ることはないでしょう。

しかし高い車を買いたいなど欲を出してしまうとお金は足りません。

贅沢な生活をしたいのであれば副業や他業種への転職をするのが良いでしょう。

リハビリの人口推移と将来性、今後の需要と供給のバランスは?

「せっかくリハビリ職に就いたのに、こんなはずじゃなかった」とならないよう、リハビリ職の現状をしっかりと説明します。

リハビリ職の人口推移

日本理学療法士協会を参考に、昭和41年から令和5年度までの理学療法士の総数をまとめました。

また作業療法士は令和5年時点で10万人越え、言語聴覚士は2万人を超えています。

どの職種も右肩上がりで今後更なる人口増加が見込まれます。

資格認定時期
・理学療法士 1966年〜
・作業療法士 1966年〜
・言語聴覚士 1999年〜

リハビリ職の需要と供給

参考:理学療法士・作業療法士の需給推計について

こちらは厚生労働省が発表した理学療法士・作業療法士の需要と供給のグラフになります。

リハ職種の供給が現時点で需要を上回っており、2040年には供給数が需要数の1.5倍になると想定されています。

理学療法士の人口は右肩上がりですが、日本の人口は右肩下がりです。

これが需要と供給のバランスを崩している大きな要因です。

「国家資格を持っているからどこでも就職できる時代」は終わりました。

今後さらに病院側が新入社員を選ぶ時代になり、就職先の選択肢が狭まってしまう可能性も出てきます。

また、リハビリの資格を持った介護士など他業種で活躍する人も出てくるでしょう。

これからのリハビリ職はどうなっていくのか?

医療領域の情勢変化はとても速いです。

特にリハビリ職はここ10年・20年で成り手が爆増し、それに伴う働き場所や待遇の変化が著名に表れています。

時代の変化に置いていかれないようにするためにはどうすれば良いか、解説をしていきます。

専門性を持たないと生き残れない時代に

経験年数が増えても診療報酬(リハビリを行なって国からもらえるお金)は新人と同じ金額です。

自分にしかない武器で他者と差別化しないと生き残ることが難しくなるでしょう。

「認定理学療法士/作業療法士」「専門理学療法士/作業療法士」の資格を取るなど、個人のスキルアップは必須になります。

資格に加えて+αのスキル(動画編集やWeb制作など)を身につけることが出来れば、より他者との差別化が出来ます。

今は自分より下の人を見て安心する時代ではなく、上を見て危機感を覚えた方がいいでしょう。

本記事のまとめ
・リハビリは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3つに分かれる
・人を幸せに出来る職業
・年収は平均値で426万・中央値で351万円あり、普通の生活をすることは可能
・リハ職種の供給が現時点で需要を上回っており、2040年には供給数が需要数の1.5倍になると想定
・自分だけの武器を持たないと生き残れない時代に

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